初等学校 6年間(5〜11歳) |
中等学校 5年間(義務)(11〜16歳) |
中等学校 2年間(16〜18歳) シックスフォームカレッジ(Sixth form Colledge) 又は、継続教育カレッジ(Colledge of further education) |
大学 3年間(18〜21歳) |
イギリスでは、約9割の生徒が選抜のない高校(中等学校)へ進学している。入学後は、GCSEという国
家検定試験の合格が目標である。学校サイドとしても、どれだけの生徒がGCSEのC評価以上の成績をあ
げるかがポイントとなる。(トップ層ではなく、中間層から底辺層の底上げが課題になる。)
つまり、「学校選択」ではなく「資格(GCSE)取得」することが中等教育の目標である。大学入試や就職の場合も、
どの学校を卒業したのかではなく、どんな資格を取得したかが評価の中心となる。このシステムは、小学校から
大学、そして職業資格に至るまで国家的に構築されている。社会全体として、「学校歴社会」ではなく「資格社会」を
形成している。このような、国家的学力試験の全体図は、以下のような構成である。教育水準を全て絶対評価
しているとも考えられる。
テスト名 |
対象学年 |
目的 |
イレブン・プラス |
初等学校卒業学年 |
選抜のある中等教育へ |
|
中等学校卒業学年 |
中等教育の達成度を確認 |
|
Sixth form卒業学年 |
大学入学資格を獲得 |
大学卒業資格ランク制度 |
大学卒業学年 |
大学間格差是正のため |
NVQ |
国家職業資格 |
職業教育について
イギリスの「資格社会」を陰で支えているのが「継続教育カレッジ(college of further education)」である。
この分野は、日本人には概念的に理解しにくいところである。日本的に説明すれば、「総合学科の高校で
あるが、社会人も再教育のために全日制・定時制で学んでいる。」といったところだろうか?
この「継続教育」の学生数は、400万人以上で、かなりの数である。また、フルタイム・パートタイムと学習形
態も様々である。そしてここで、大学入試に必要なAレベル資格、GCSE(一般中等教育資格)、NVQ(国
家職業資格)等を取得する。その結果、進学が可能になったり、よりよい職に就けたりするのである。むしろ、
「継続教育」を「専門高校教育」ではなく「生涯教育」として認識するのが適切かもしれない。この傾向は、大
学でも同様である。大学入学も成人学生が大変多い。さらに、通信制大学も拡大され「生涯学習社会」を実
現している。 イギリスの教育制度は、「継続教育カレッジ」「大学教育」ともに「生涯学習社会」をフォローす
るものとして機能している。つまり、「学びたければ、いつでも学べる」制度である。しかし、「学びたくなければ、
学べない」個人主義的な自己責任に基づく制度でもある。教育制度がきわめて資本主義的である。
イギリスでは、義務教育後の16歳から18歳までの青少年を対象に職業教育、成人教育など多種多様な教
育訓練の機会を提供する継続教育が行われている。
college of further educationには、農芸カレッジ、商業カレッジ、技術カレッジ、芸術デザインカレッジなどがあり、
主として高等教育への進学を目指さない生徒のための教育機関である。
生徒は、FULL TIMEの他、PART TIME(週に一定日数登校する)の2通りがある。
継続教育カレッジには様々な課程があるが、多種の職業資格取得の課程が中心となっている。
【主な職業資格授与団体】
1.王立技芸協会
2.ロンドン商工業会
3.ロンドンシティ・ギルド協会
4.商業・テクニシャン教育協会 等
1986年には多種多様な職業資格を整理統合し、全国的な職業資格の枠組みを開発する機関として、全国職業
資格審議会が設置された。ここでは、5段階からなる全国職業資格(NVQ=National
Vocational Qualification)
を設け、各種の職業資格を審査し、一定水準にあるかどうかの認定を行っている。
GCSE:General Certificate of Secondary Education(一般中等教育資格試験:AからG、「資格なし」までの評価がなされる。)